物流の一時駐車スペース確保必要
国交省、駐車場施策ガイドラインを改訂
国土交通省は18日、「まちづくりと連携した駐車場施策ガイドライン」を改訂し、第2版を発行した。駐車場法の駐車場整備地区の対象となる「まちなか」地区を基本に、駐車場施策の基本的な考え方や、検討ポイント、留意点等をまとめた。
ガイドラインは駐車場施策の課題をあげ、地域の交通状況やめちの特性を踏まえた適切な駐車場整備の必要性を提示。物流においては、荷捌きを目的とした路上駐車が行われており、さらにコロナ禍を契機に宅配便取扱個数が急増していることから、商業地域における荷捌き駐車施設や、住宅地の一時駐車スペース等の確保がより一層求められるとした。また、配送ロボットなど新たなモビリティの普及も見据えた配慮の必要性をあげた。
駐車場施策については、▽目指すべき将来像の検討、▽駐車状況等の現状把握、▽具体的な施策の検討、▽地区特性に応じたマネジメントの検討―の4ステップに整理。配達・荷捌きを目的とする短時間駐車については、駐車場所から目的地までの距離・高低差や、横持ち動線における歩行者等との錯綜を留意点にあげた。さらに、ピーク時間帯に荷捌きなどが集中することがあるとして、タイムシェアを含めた多面的な調整が必要とした。
通運情報 4.20
トラックの倒産43.7%増加
~燃料高止まりや人件費上昇~
東京商工リサーチは10日、2022年度道路貨物運送業の倒産(負債1000万円以上)をまとめた。
燃料費の高止まりや、人材確保に伴う人件費上昇などの影響を受け、22年度倒産件数は236件と前年と比べ43.7%増加し、15年度以来7年ぶりに倒産件数が200件を超えた。また中堅規模の倒産が増加したことで、負債総額は437億8100万円と前年度比119.4%増となった。
過去20年間の推移を見ると、08年度の516件をピークに減少傾向となり、20年度はコロナ禍支援もあり160件まで減少。その後、BtoB物流停滞問題や、燃料費高騰の影響が広がり、21年度は183件と増加に転じた。
燃料費高騰を中心とする「物価高」関連倒産は80件で、前年度比515.38%と大幅に増加。「人手不足」に起因する倒産は22件と前年度比37.5%増加しており、2月のアンケート調査においても道路運送業のうち82.8%が人手不足と回答するするなど、深刻さが浮き彫りとなった。内訳は求人難8件、人件費高騰3件、後継者難11件だった。
形態別は、破産237件、特別清算5件と消滅型が全体の9割を占めた。一方、再建方は9件にとどまった。
通運情報 4.12
重さ・高さ指定道路の追加指定結果公表
全日本トラック協会は、国土交通省及び警察庁に対して行った令和4年度の「重さ指定道路」と「高さ指定道路」の追加指定要望の結果をホームページに公表した。重さ指定道路は要望区間358区間のうち、227区間が指定可(指定済み含む)、8区間が一部指定可に。高さ指定道路は要望区間46区間のうち、36区間が指定可(指定済み含む)、1区間が一部指定可となっている。
通運情報 4.12
※全日本トラック協会ホームページ
https://jta.or.jp/wp-content/uploads/2023/03/r04omosa_kekka.pdf
自動配送ロボットの公道走行可能
道路交通法の一部改正によって、4月1日から自動配送ロボットの公道走行が可能となる。経済産業省は27日、経済産業省の敷地内で、ロボットデリバリー協会と合同による自動配送ロボット8台の走行デモンストレーションを行った。
道交法で認められている自動配送ロボットは、最高速度が時速6㎞、車体の大きさは高さ120cm、幅70cm、長さ120cmで、通行場所を管轄する都道府県公安委員会への事前届出を義務付け。歩行者と同じ歩道や路側帯、道路の右側を走行し、歩行者相当の交通ルールに従うほか、歩行者に対して進路を譲ることが定められている。
物流拠点や小売店舗等の荷物・商品の配送、地域内の移動販売等での利用が見込まれており、物流分野の人手不足や買い物弱者対策等の効果が期待されている。
また社会実装の加速に向けては、新たなサービスの担い手の発掘・拡大や、社会受容性の向上が必要とされているとして、経産省サイトで施策の最新情報や、実証実験・モデル自治体の事例、紹介道がなどを掲載している。
通運情報 3.30
物流2024年問題で関係閣僚会議設置
岸田文雄首相は27日、参議院予算委員会において、物流2024問題への迅速な対応に向けて、関係閣僚会議を設置する考えを示した。
宮崎勝参議院議員からの質問を受け、岸田首相は「トラックドライバーに対する時間外労働上限規制の適用を受けて、物流の停滞が懸念されている。いわゆる2024年問題の解決に向けて、政府として迅速に対応する必要があると認識している」と答弁。
政府の対応として「適正な取引を阻害する行為を是正するため、関係法令に基づき、荷主に対する要請を行うとともに、物流DXやモーダルシフトなど、輸送の効率化に取り組んでいるところ。荷主の更なる取組みを促すため、不適切な商慣行の是正に向けた規制的措置の導入に向け、関係省庁で連携して対応を加速させている。さらに、近日中に新たな関係閣僚会議を設置・開催し、緊急に取り組む施策を取りまとめることにしている。物流の革新に向けて関係省庁でいっそう緊密に連携し、政府全体で、スピード感をもって取り組んでいきたい」と述べた。
通関情報 3.29
フリーの宅配ドライバー参入続々…大量の荷物、「規制外」の長時間労働で事故多発か
ネット通販の普及で宅配荷物量が急増する中、国土交通省は、軽貨物車で配達を請け負う運送事業者について、初の実態調査に乗り出した。事業者の大半は個人事業主のドライバーで、近年参入が相次ぎ、事故が急増している。個人事業主は労働法令の対象外で、長時間労働が事故増の背景として指摘されている。同省は1万人規模のアンケートで働き方を把握し、環境改善につなげる。
実態調査では、首都圏や近畿圏の個人ドライバーら1万人を無作為に抽出。普段の荷物量や主な取引先、無理な発注の有無などについて聞く。質問文はすでに発送しており、5月頃までに回答をとりまとめ、どのような対策が必要か検討する。
国交省によると、軽貨物運送事業者は2021年度に20万9250業者と10年間で3割以上増加。同省はこの大半が個人事業主とみている。宅配便取り扱い個数が10年間で1・5倍に増えており、運送各社が人手不足を補うため、個人ドライバーへの業務委託を広げていることが背景にある。
事業用軽貨物車(黒ナンバー車)の保有台数も22年末現在で約31万台と10年間で約4割増えた。黒ナンバー車が原因となった事故は6年連続で前年を上回り、22年は5011件と16年比で37・1%増加。死者や重傷者が出た重大事故では403件に上り、過去10年で最も少なかった16年と比べると103%増となっている。交通事故全体が減る中、主な車種別で増えているのは黒ナンバー車だけだ。
個人ドライバーは会社に雇用された労働者ではなく、「フリーランス」にあたるため、労働基準法で労働時間を規制されない。運送ドライバーの運転時間を定めた「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)は適用され、「2日平均で1日9時間以下」などの規制がある。しかし、社員と違い、会社ではなく、自身で管理することになるため、十分に守られていない恐れがある。
昨年以降、各地で個人ドライバーが労働組合を結成しており、「大量の荷物に追われ、長時間運転にならざるを得ない」との声も上がっている。
そのため、国交省は昨年10月、運送会社などが加盟する全日本トラック協会など5団体に軽貨物事業者に安全運転を徹底させ、無理な発注をしないよう文書で要請。今年1月には、運送大手やネット通販大手「アマゾンジャパン」などと協議会を設置し、安全対策の強化に乗り出している。
読売新聞(WEB) 03.26